お腹の調子がずっと悪い…その原因と解決法を医師が解説
下痢や便秘を繰り返す、食後にお腹が張る、いつも胃腸の調子がすっきりしない…。そんな「お腹の不調」が長引いている方へ。
このページでは、考えられる原因や主な病気(過敏性腸症候群・腸疲労など)、食事の工夫、病院に行くべきサインについてわかりやすくご紹介します。
- お腹の調子がずっと悪い原因とは?
- 過敏性腸症候群(IBS)とは?
- 腸疲労とは?腸の機能低下による不調
- ストレス・食生活が胃腸に与える悪影響とは?
- 下痢・便秘・消化不良|お腹の不調のサインとは?
- お腹の調子が悪い時におすすめの食事
- お腹の不調に関するよくある質問(FAQ)
お腹の調子がずっと悪い
原因とは?
「お腹の調子が長期的に良くない」「下痢と便秘を繰り返す」「排便後に腹痛が和らぐ」――こんな症状に心当たりはありませんか?
お腹の不調は誰にでも起こりうるものですが、もし長期間続いている場合、それを放置してしまうと症状が悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
慢性的な腹痛や便通の乱れがある場合、早めに原因を特定し、適切な対策を取ることが大切です。検査場、器質的な異常が見つからなくても、機能性消化管障害の可能性が考えられます。例えば、以下のような疾患が挙げられます。
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群(IBS)は、器質的な異常が見られないにもかかわらず、以下のような症状が慢性的に現れる機能性消化管障害です。治療は、食事内容、運動などの生活習慣の見直し、内服過料など行います。患者様それぞれで悩んでおられる内容も違い、自分にあった治療方法を見つけられるようお手伝いできればと考えております。
主な症状

- 繰り返す腹痛(排便後に軽減することが多い)
- 便通の乱れ(下痢と便秘を繰り返す、またはどちらか一方が続く)
- 便の性状の変化(軟便、水様便、硬い便など)
- 排便頻度の変化(急激な頻度の増加または減少)
主な原因
過敏性腸症候群の原因は一つではなく、複数の要因が複合的に作用して発症するとされています。特に、心身のストレスや暴飲暴食、過度の飲酒、不規則な食生活などが原因で、内臓神経が過敏になることで発症することが多いとされています。そのため、まずは生活習慣を見直し、改善することが重要です。特にストレスが関与している場合は、その原因を明確にし、ストレスを軽減するための具体的な対策を講じることが必要です。
腸疲労とは?腸の機能低下による不調
食べ過ぎや飲み過ぎの心当たりがないのに、長らく胃腸の調子が悪い――このような場合、腸疲労が原因かもしれません。「腸疲労」は、医学的な正式名称ではありませんが、過度なストレスや不規則な生活、食べ過ぎなどによって引き起こされることが多く、胃腸の働きが低下した状態です。腸疲労が続くと、消化や吸収機能が正常に働かなくなり、食べ物を十分に消化できなくなります。消化不良のほかに、腸内フローラ(腸内細菌のバランス)の乱れも腸疲労の原因の一つです。
主な症状

- 便秘や下痢
- 胃の痛み
- 胸焼けや吐き気
- 頻繁なげっぷ
- お腹の張り感
- 食欲低下
ストレス・食生活が胃腸に与える悪影響とは?
腸の健康は、私たちの日常生活と密接に関連しています。特にストレスと食生活は、腸の状態に大きな影響を与える重要な要因です。
ストレスの影響
- 自律神経の乱れによる腸の運動異常
- 胃酸の過剰分泌
- 腸の血流低下による消化・吸収機能の低下
- 腸内細菌叢のバランスの乱れ
食生活による影響
- 不規則な食事時間による消化リズムの乱れ
- 食事の偏りによる栄養バランスの崩れ
- 早食いや食べ過ぎによる消化器への負担
- 過度な刺激物(カフェイン、アルコール、香辛料など)の摂取
これらの要因は単独で、または複合的に作用して腸の健康状態を悪化させる可能性があります。そのため、症状の改善には、ストレス管理と適切な食生活の両方に取り組むことが重要です。
下痢・便秘・消化不良|お腹の不調のサインとは?
下痢
下痢は、腸の動きが過剰になり、水分が十分に吸収されないことが原因です。急激に水分が失われるため、体調に大きな影響を与えることもあります。食事に注意し、特に食べ物の衛生状態に気をつけることが予防に繋がります。
便秘
便秘は腸の動きが遅くなることで、便が長時間腸内にとどまる状態です。これによって、便が固くなり、排便が困難になります。水分を多く摂取し、食物繊維を積極的に摂ることが重要です。
消化不良のサイン
食後に胃が重い、げっぷが頻繁に出る、吐き気がするなどの消化不良の症状が続く場合は、食生活や消化機能に問題がある可能性があります。消化不良が長引くと、栄養吸収に支障をきたし、体調に悪影響を与えることもあります。症状が改善しない場合は、早期に専門医の相談を受けることが重要です。
明らかに異常が見られる
ケース
以下のような症状がある場合は、緊急性を伴う可能性があるため、早急に医療機関を受診してください。
- 激しい腹痛や排便後の腹痛の増加
- 血便や黒い便
- 急激な体重減少、食欲不振
- 吐血や激しい嘔吐
これらの症状は、胃腸炎や消化器系の深刻な問題(例えば消化性潰瘍や大腸癌など)のサインである可能性があります。早期の診断と治療が重要です。
お腹の調子が悪い時に
おすすめの食事
おすすめの食事

- おかゆやうどんなど、消化の良い炭水化物
- 茹でた野菜(にんじん、かぼちゃなど)
- 脂肪の少ない白身魚の煮物
- バナナ(熟したもの)
- さっぱりとした味付けの温かいスープ
- 重湯や白湯
避けた方が良い食べ物
- 脂っこい食べ物(揚げ物、肉の脂身など)
- 生野菜や繊維の多い食材
- 刺激物(香辛料の強い食べ物)
- 乳製品(特に腹痦が伴う場合)
- カフェインを含む飲み物
- アルコール
- 甘すぎるお菓子類
その他の注意点
- 一回の食事量を控えめにし、少量ずつ頻繁に摂取する
- よく噛んでゆっくり食べる
- 適温の食事を心がける(熱すぎず冷たすぎない)
- 十分な水分補給を心がける(常温の水やお茶)
症状が長引く場合や悪化する場合は、お早めにご相談ください。
これらの食事の工夫に加えて、十分な休息を取ることも回復には重要です。
お腹の不調に関する
よくある質問(FAQ)
お腹がぐるぐる・ゴロゴロ・グーっと鳴るのは病気ですか?
通常、お腹が鳴るのは消化管が働いている証拠です。食べ物を消化したり、腸内でガスが移動したりする際に音が鳴ります。空腹時に起こることが多いですが、ストレスや早食いで空気を飲み込みすぎることが原因の場合も。特に痛みや他の症状がなければ心配いりませんが、頻繁に鳴る場合や、腹痛を伴う場合は消化器の専門医に相談してください。
お腹がポコポコなるのはどうしてですか?
お腹の「ポコポコ音」は腸内のガスや液体が移動している音です。腸が活発に動いている証拠ですが、腸内環境が乱れている場合にも起こることがあります。食事内容やストレスが影響することもあるため、発酵食品や乳酸菌を摂取して腸内環境を整えることをおすすめします。
急にお腹を壊すことがよくあります。原因は?
急にお腹を壊す主な原因は、以下のようなものがあります。
- 食事の内容:脂っこいものや冷たい飲み物、刺激物の摂取。
- 感染症:ウイルスや細菌が原因の感染性胃腸炎。
- ストレス:自律神経が乱れることで腸の動きが過剰になることがあります。
頻繁に起こる場合や、血便・激しい腹痛を伴う場合は、お早めにご相談ください。
気持ち悪さを伴う腹痛があるのはなぜですか?
気持ち悪さを伴う腹痛の原因にはさまざまなものがあります。
- 胃炎や胃潰瘍:胃の粘膜が荒れていると、吐き気や腹痛が現れます。
- 腸閉塞:腸の内容物がスムーズに移動しない状態で、吐き気を伴う場合があります。
- IBD(炎症性腸疾患):潰瘍性大腸炎やクローン病では、炎症が原因で吐き気や痛みが生じることがあります。
症状が続く、または悪化する場合は早めに受診を検討しましょう。
市販の薬はあまり飲まない方が良いんですか?
市販薬は一時的な症状緩和には有効ですが、自己判断で頻繁に服用するのは避けた方が良いです。特に胃腸の症状は、軽いものから重大な病気まで幅広い原因が考えられるため、誤った薬の使用で症状を悪化させることもあります。症状が繰り返し起こる場合や強い痛みがある場合は、お早めにご相談ください。