LINEから予約
TOPへ

肝臓がんの初期症状とは?チェック方法から治療まで

肝臓がんの初期症状とは?

肝臓がんは「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓に発生するため、初期段階では自覚症状がほとんどありません。

肝臓には痛みを感じる神経が乏しく、腫瘍がある程度の大きさに育つまでは症状が出にくいのです。そのため、自分では気づかないうちに進行してしまうケースが非常に多く、健康診断や人間ドック、あるいは他の病気の検査で偶然に発見されることが少なくありません。

ただし、全く症状がないわけではなく、次のような「体の小さな変化」が初期のサインとして現れることがあります。

肝臓がんの初期症状とは?大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」
  • 何となく続く疲れやすさ、倦怠感
  • 体重減少や食欲不振
  • 原因不明の微熱
  • むくみ(特に足首まわり)
これらの症状は風邪や過労、生活習慣の乱れでも起こり得るため、「気のせい」や「年齢のせい」と思ってしまいがちです。
しかし肝臓がんのリスク因子(肝炎ウイルス感染、脂肪肝、飲酒習慣、糖尿病など)がある方は特に注意が必要です。

肝臓がんが進行すると出る症状

肝臓がんは進行するにつれて、徐々に分かりやすい症状が現れてきます。

肝臓がんが進行すると出る症状│大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」
  • お腹の張りやしこりを感じる
  • 右上腹部の痛みや圧迫感
  • 黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)
  • お腹に水がたまる(腹水)
  • 夜間に足がつる(こむら返り)
  • 手のひらや顔に赤い斑点が出る
  • 肝性脳症による手の震えや意識の混乱

この段階で見つかると治療選択肢が限られてしまいます。だからこそ「症状がないうちの検査」が非常に大切なのです。

肝臓がんについて

「肝臓がんについて」大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」肝臓はお腹の右上、肋骨の内側に位置する、とても重要な臓器です。
体に必要な物質をつくったり、エネルギーを蓄えたり、不要な毒素を分解・排出したりと、毎日フル稼働で働いています。

肝臓がんは男性に多く、高齢になるほどリスクが高まります

肝臓がんは女性に比べ、男性がかかる割合が約2倍。特に50代以降から患者数が増え、80代後半にかけて急激に増える傾向があります。 また、肝臓がんは進行すると治療が難しく、予後も厳しい病気です。たとえば2015年のデータでは、早期のステージIでも生存率は63.2%にとどまっており、段階が進むにつれて大きく低下しています。
だからこそ「早期発見」がとても大切になります。

慢性肝炎や肝硬変を見逃さないことが、肝臓がん予防につながります

肝臓がんは、慢性肝炎や肝硬変を経て発症するケースが多く見られます。慢性肝炎は主に肝炎ウイルスが原因で、炎症が続くことで肝細胞が傷み、その修復過程で線維が蓄積。やがて肝臓全体が硬くなり「肝硬変」に至ります。肝硬変が悪化すると、肝臓がんのリスクが一気に高まります。

近年ではウイルスだけでなく「脂肪肝炎」にも注目が集まっています。脂肪肝炎は生活習慣や代謝異常が背景にあり、これが進行すると肝硬変、さらに肝臓がんへと発展する可能性があります。つまり、肝臓がんを防ぐには、慢性肝炎や脂肪肝炎をできるだけ早く発見し、治療を始めることが何よりも重要です。

肝硬変・肝臓がんのリスクを高める肝臓病と原因

肝硬変の前段階 主な原因
ウイルス性慢性肝炎 ・B型肝炎ウイルス(HBV)
・C型肝炎ウイルス(HCV)
非ウイルス性肝炎 ・アルコール性脂肪肝炎(多量の飲酒)
・非アルコール性脂肪肝炎(NASH、MASH):肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧など
・その他(自己免疫性肝炎 等)

このうち、非アルコール性脂肪肝炎については後ほど詳しく説明します。

肝炎ウイルスは依然として主要な原因

肝臓がんの約9割は「肝細胞がん」と呼ばれるもので、これまではウイルス性が多くを占めていました。 ただし近年はC型肝炎治療の進歩によって、非ウイルス性肝臓がんが増加し、今では全体の約半数に達しています。 非ウイルス性の中で最も多いのはアルコール性(32.3%)、次いで脂肪性肝疾患(15.1%)と報告されています。

生活習慣やストレスからくる肝臓がんも増加中

C型肝炎に関しては95%以上が治療で完治できるようになり、ウイルス性肝臓がんは減少してきました。 しかしその一方で増えているのが「脂肪肝」による肝臓がんです。運動不足やストレス、食生活の乱れから、アルコールを飲まない方でも脂肪肝になるリスクがあります。さらに糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームと合併することも少なくありません。

特に脂肪肝が進んだ「MASH」は、肝臓がんのリスクが高い状態です。放置すると10年後には10~20%が肝硬変へ進み、その中の数%が肝臓がんを発症するといわれています。脂肪肝を持っている方は、定期的なチェックと早期の治療介入がとても大切です。

肝臓がんになりやすい人

肝臓がんになりやすい人│大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」肝臓がんになりやすい人には、いくつかの特徴があります。
以下のようなリスク要因を持つ人は、肝臓がんになる可能性が高くなるので、注意が必要です。

肝炎ウイルスに
感染している人

B型やC型の肝炎ウイルスに感染していると、長期的に肝臓にダメージを与え、肝硬変を経て肝臓がんを引き起こすことがあります。特にC型肝炎は肝臓がんの主な原因の一つです。

肝硬変がある人

肝硬変は肝臓の組織が傷ついて硬くなり、機能が低下する病気です。肝硬変が進行すると、肝臓がんのリスクがかなり高くなります。

詳しくはこちら

アルコールを大量に
摂取している人

長期間にわたって過度なアルコール摂取を続けていると、アルコール性肝疾患が進行し、最終的に肝硬変や肝臓がんを引き起こすことがあります。

脂肪肝や糖尿病がある人

肥満や糖尿病があると、肝臓に脂肪がたまりやすくなり、これが進行すると肝臓に炎症を引き起こして肝硬変を招くことがあります。これも肝臓がんのリスクを高めます。近年、糖尿病治療薬であるGLP-1受容体アナログやSGLT2阻害薬により肝硬変の進展予防や肝炎の改善効果などの報告もあり、専門的な治療が可能となっています。

詳しくはこちら

肝臓がんの主な原因と割合

肝臓がんには、肝臓そのものに生じた原発性肝臓がんと、他の臓器のがんが転移して生じた転移性肝臓がんの2種類があります。

原発性肝臓がんのうち90%は肝細胞内に生じる肝細胞がんであり、残りの10%は胆管の細胞から生じる胆管細胞がんです。
肝細胞がんの原因としては、肝炎ウイルスの感染、アルコール関連性肝疾患、脂肪性肝疾患(脂肪肝)、自己免疫疾患による自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などが挙げられます。

肝がんと肝炎ウイルス

以前は肝細胞がんの原因の70%弱がC型肝炎、20%弱がB型肝炎のウイルス感染とされていました。現在は治療方法の進歩により、発がんリスクを下げることに成功しています。

B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルス感染から慢性肝炎や肝硬変を発症した結果、がんに進展するケースがほとんどです。時折、ウイルスが肝臓の細胞遺伝子に侵入して発がんの引き金となることがあり、その場合は肝機能が比較的良好な段階からがんが進行する可能性もあります。そのため、核酸アナログ製剤を主とした抗ウイルス療法とともに慢性肝炎やキャリアの状態でも、定期的な画像検査が必要となってきます。

C型肝炎ウイルス

C型肝炎は血液や体液を介して感染します。 急性肝炎から慢性肝炎への進行率が高いのが特徴です。感染後20〜30年経つと、慢性肝炎や肝硬変からがんへ進展することが多いとされています。しかし近年では、HCVウイルス蛋白を直接ターゲットとしたDAAs製剤が登場し、ほぼ100%近いウイルス排除が可能となっています。

脂肪性肝疾患(脂肪肝)

肝がんの原因の10%を占め、かつて注目されているものに、「非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis; NASH)」があります。NASHは肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を発症している方を中心に、患者数が増加している病気です。

近年は、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病との関連を重視し、MASLD: Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver DiseaseやMASH:Metabolic Dysfunction Associated Steatohepatitisと呼ばれる新しい診断名が使用されています。

脂肪肝の中でも、炎症が強くないか、肝硬変への進展や肝がんの発生リスクが高くないかを判断することが非常に重要であり、まずは専門医による精査がすすめられています。

過度なダイエットやリバウンドによって、脂肪肝へ移行するケースもあるため、痩せている方やアルコールを摂取しない方でも、絶対に肝がんのリスクがゼロとは言い切れません。生活習慣や食事を改善し、脂肪肝から脂肪性肝炎への進行を食い止める必要があります。

肝臓がんの検査・診断方法

肝臓がんは、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、予後も改善する可能性が高まります。

しかし、初期の段階では症状がほとんどないため、定期的な検査が重要です。当院では、肝臓がんを早期に見つけるための検査を、患者さま一人ひとりに合わせて実施しています。

腹部超音波検査(エコー)

肝臓がんの検査・診断方法│大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」まず、肝臓がんの検査として、腹部超音波検査(エコー)を行います。これは、肝臓の状態を非侵襲的に調べるための最初のステップです。超音波を使って、肝臓の形や大きさ、腫瘍の有無を確認できます。定期的にエコー検査を受けることで、肝臓がんの早期発見につながります。

肝臓の血液検査

肝臓がんの検査・診断方法│大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」また、肝機能を調べるための血液検査も重要です。肝臓がんに関連する腫瘍マーカー(AFPなど)を測定することで、がんの兆候を早期に把握できます。ただし、これらの値は必ずしもがんを確定するものではないため、他の検査と組み合わせて総合的に評価します。

CT・MRI検査

もし、超音波検査や血液検査で異常が見つかった場合、さらに詳細な検査が必要です。CTやMRIは、肝臓がんの存在を確認し、がんの大きさや位置、転移の有無を正確に把握するために有効です。当院では、これらの大きな検査が必要な場合には、連携している医療機関に紹介し、専門的な検査を受けていただきます。

肝臓がんの治療

定期的なモニタリングと
経過観察

肝臓がんの治療│大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」当院では、肝臓がんの早期発見を目指して、定期的な超音波検査や血液検査を行い、肝臓の状態を経過観察しています。特に肝臓がんのリスクが高い患者さまには、定期的な検査を通じてがんの進行を早期に発見し、必要に応じて速やかな対応をさせていただきます。

生活習慣の改善指導

肝臓がんの治療│大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」肝臓がん予防には、生活習慣の改善が不可欠です。患者さま一人ひとりの生活習慣に合わせて、健康的な食事や適切な運動の指導を行い、肝臓に負担をかけない生活をサポートしています。アルコールの摂取制限や体重管理を通じて、肝臓がんのリスクを減らすことができます。

薬物療法によるサポート

肝臓がんの治療│大阪の肝臓内科「むらた内科・消化器肝臓クリニック」当院では、肝臓がんによる症状や合併症を和らげるための薬物療法を提供いたします。
肝機能をサポートする薬や、肝炎ウイルスの治療薬、さらには痛みを和らげるための鎮痛薬を処方し、患者さまが少しでも快適に過ごせるよう支援します。

専門施設への紹介

肝臓がんが発見された場合は、当院では大きな病院や専門医療機関への紹介を行っています。肝臓がんの外科的治療や化学療法、ラジオ波焼灼療法(RFA)など、専門的な治療が必要な場合に、適切な医療機関へスムーズにご案内いたします。